葛飾区「新金線」は本当に“鉄道”でなければならないのか？ 需要3万人、費用差で見る「BRT」の優位性
葛飾区の南北交通は京成金町線のみで固定化され、住民はバスに依存する。新金線旅客化では鉄道方式が高額投資を要する一方、BRT導入なら建設費を約70%に圧縮可能。日3万人規模の輸送ニーズを踏まえ、土地利用転換と専用道整備を組み合わせる最適解が模索されている。
BRT拡大と自動運転導入
さらに10年後には、葛飾の当該エリアで土地利用転換が進み、業務と住宅が混在する形態が定着することが期待される。
輸送量が増加すれば、BRTの拡大や自動運転の本格導入を早期に検討する動きも出てくるだろう。都市内の他の貨物線跡でも、「貨物線×専用道BRT」のモデルが横展開される可能性がある。
今回は葛飾区の予測データを中心に論を進めたが、予測モデルやシミュレーションの手法は妥当であると評価できる。問題は鉄軌道ありきで推す層の存在である。限定的な空間であればインフラコストを削減できるバス系手段は十分に選択肢に入る。
BRT導入の方向性が報じられると主観的に残念がる声もあるが、重要なのは選択肢を並べ、データや効果、効率を基準に最適な手段を選ぶことだ。その観点で、BRTは有効な選択肢である。人口減少社会に向け、各地でこうした比較検討が進むことが望まれる。