葛飾区「新金線」は本当に“鉄道”でなければならないのか? 需要3万人、費用差で見る「BRT」の優位性
費用便益と輸送効率の比較

新金線の貨物線区分は、JR貨物の運行権を確保するために定められており、旅客化には国土交通省の許認可変更が必要である。踏切の立体化義務は鉄軌道側に転嫁され、立体化の場合は事業費が40%以上増加する可能性も残る。
葛飾区の資料によれば、国道6号に関しては、「1」~「3」の方式いずれでも、高架化する場合は国の新宿拡幅事業の進捗に応じて検討が必要であり、平面交差の場合は安全性を確保した交通処理の実現性が担保されていないとされる。唯一の解消策としては、BRTの「一般道路走行」で迂回が可能なケースが挙げられている。葛飾区も、BRTであれば道路法や都市計画法の枠組みで調整でき、行政裁量が広いとの認識を持つはずだ。
所要時間では鉄軌道方式が有利だとの指摘もある。葛飾区の予測では、「1」の所要時間は全線で約17~21分、「2」は約23~26分、「3」は約26~28分とされる。この時間の差と税金負担のバランスをどう見るかも重要な論点となる。
葛飾区の予測によれば、概算事業費は「1」で約450~800億円、「2」で約700~800億円、「3」で約320~560億円となっている。特に「2」の専用道にLRT車両を走らせる場合、費用便益比が1を下回る可能性も指摘されている。
BRTの事業費は約320~560億円で、鉄軌道案の70%程度に収まる。利用予測は1日約3万人で、中量交通としてBRTが適正規模であるとされる。維持費も考慮すると、BRTの方が現実的な選択肢となる。葛飾区は資料で、
「高架区間の長さや用地取得の有無により概算事業費が異なる」
「「1」は国の補助金が少なく整備時の借入額が大きいため、長期的な資金収支が黒字転換しない」
「「2」は概算事業費(費用)が大きいため、費用便益比が1未満」
とコメントしている。本予測結果を踏まえ、事業の選択肢を慎重に検討する必要がある。
連節バスは、一編成で通常のバスの約1.5倍の輸送力を持つ。専用道を走行すれば、鉄道に近い定時性も確保できる。気仙沼線や大船渡線、日田彦山線の事例を見ても、大きな問題は生じないと考えられる。
葛飾区の予測では、宇都宮LRTの一編成コストは約4億3000万円、定員は約160名である。一方、連節バス車両は約9500万円~1億円で、定員は約120名となる。このデータからも、BRTを連節バスで運行するのが現実的であることが分かる。
今後は連節バスの電動化が進み、ランニングコストの低下も期待できる。自動運転は専用道での実証が進んでおり、クローズドな空間では段階的導入がより早く進むと見込まれる。また、貨物線の用地は専用道化が容易で、軌道系に比べ線形の補正もしやすい。