葛飾区「新金線」は本当に“鉄道”でなければならないのか? 需要3万人、費用差で見る「BRT」の優位性

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葛飾区の南北交通は京成金町線のみで固定化され、住民はバスに依存する。新金線旅客化では鉄道方式が高額投資を要する一方、BRT導入なら建設費を約70%に圧縮可能。日3万人規模の輸送ニーズを踏まえ、土地利用転換と専用道整備を組み合わせる最適解が模索されている。

旅客化方式の三選択

「新金線旅客化の検討状況について」(画像:葛飾区)
「新金線旅客化の検討状況について」(画像:葛飾区)

 葛飾区は「新金線旅客化の検討状況について」(同区交通政策課新金線旅客化担当係・2025年5月作成)を公表している。この資料によれば、旅客化方式は大きく三つのパターンで検討されている。

1.現在ある貨物線の線路を旅客線も走行するケース
2.貨物線の隣に新たに線路を整備するケース
3.貨物線の隣に新たに専用道路を整備するケース

上記の「1」と「2」は宇都宮のようなLRT型車両を想定し、「3」は連節バス型車両を想定している。旅客需要予測は、「1」で約3万7000~4万4000人/日、「2」で約2万9000~3万3000人/日、「3」で約2万9000~3万人/日となる。車両方式ごとに輸送力の差はあるが、いずれも1日3万人規模のニーズがあると予測される。

 1日3万人輸送を基準とすると、「1」の概算事業費は約450~800億円、「2」は約700~800億円、「3」は約320~560億円となる。鉄軌道整備は事業費が膨らみ、架線や線路の維持費も加えると採算性は確保しにくい。

 区の財政負担とJR各社の貨物輸送維持コストも絡み、費用分担の合意形成は長年進まなかった。葛飾区の予測では、BRT方式なら鉄軌道方式に比べ建設費を約70%に圧縮でき、財源調達の現実性も高まる。

 技術面では、新金線の単線区間や狭隘区間、踏切構造がLRT化や鉄道化で制約を生む可能性がある。一方、BRT方式は専用道と一般道の混在を許容でき、線形制約を回避できる柔軟性を持つ。架線や線路の維持費も削減できる。専用道での自動運転バス導入も技術的に現実的な範囲にある。

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