高級車を飾った「名脇役」いずこへ? ボディ一体成形が変えた自動車デザインの常識

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かつて高級車の象徴だったサイドモールが姿を消しつつある。製造技術の進化やデザイン潮流の変化で装着車は減少する一方、アフターマーケットは2024年に468億ドル規模まで拡大し、新たな保護・装飾技術も登場している。

サイドモールの現代的進化

画期的なサイドモール「AIRBUMP(エアバンプ)」を搭載したシトロエン「C4カクタス」(画像:Citroen Origins)
画期的なサイドモール「AIRBUMP(エアバンプ)」を搭載したシトロエン「C4カクタス」(画像:Citroen Origins)

 サイドモールは近年あまり見かけなくなったが、決して過去の遺物ではない。カスタムを好むユーザーを中心に、アフターマーケット向けのサイドモールは独自の需要を維持している。性能向上やドレスアップを目的とした市場は着実に拡大しており、消費者の好みや使用環境に応じた価値が提供されているのだ。

 市場規模の面でも、グローバルな自動車アフターマーケットは2024年に468.91億ドル、2030年には589.01億ドルまで成長すると予測されている。こうした市場の拡大は、装飾性だけでなく保護性能や利便性も含めた、消費者の多様化するニーズを反映している。

 また、新しい技術として注目されるのが、シトロエン「C4カクタス」に採用されたAIRBUMP(エアバンプ)だ。熱可塑性ポリウレタン製のパネル内に空気層を持たせることで、軽微な衝撃から車体を守ることができ、従来のサイドモールより広範囲の保護性能を確保している。さらに複数のカラーバリエーションが設定され、ユーザーの好みに応じたカスタマイズも可能だ。

 うした取り組みは、従来のサイドモールの概念を進化させたものであり、機能性とデザイン性の両立を図る新たな試みといえる。都市部での利便性や衝撃対策を意識したユーザーや、個性を表現したいカスタマイズ志向の消費者にとって、現代のサイドモールは依然として魅力ある選択肢となっているのである。

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