「鉄道+郵便局」のDNA覚醒? JR東日本×日本郵便、両者の融合は“歴史回帰”なのか
郵便局業務と駅窓口業務の一体運営から始まった日本郵政とJR東日本の共創は、全国5駅で展開。1日50人前後の小駅でも有人化復活を実現し、物流・商流・再開発への拡張が進む新たな地域戦略である。
無人駅の有人化と両社リストラ策

一体的な運営で行われる業務は、郵便局ごとに若干異なる。郵便局業務は郵便や荷物サービス、貯金や為替・振替などの貯金サービス、生命保険やバイク自賠責保険、がん保険などの保険サービス、カタログ販売や店頭販売などの物販サービスである。駅業務は普通乗車券や定期券などの乗車券類、無記名式Suicaの発売・チャージ・精算、列車の発車時刻や運賃の案内などを担当する。
郵便局員が駅業務を兼務するが、いずれの駅も利用客が少なく、江見駅の場合は1日約50人であるため、過度な負担増にはならないと想定される。
こうした取り組みが行われる駅は、建て替えの時期に差し掛かっていることが多い。また、近隣の郵便局が移設可能な場合に限られる。しかし、対象駅が無人駅である場合、一体的な運営は事実上「有人化の復活」となる。
建て替え費用や移設後の賃料負担、駅業務の委託料など、公表されていない部分もある。だが、とくに
「有人化の復活」
に関しては、鉄道側に大きなメリットがあるといえるだろう。
両社による一体的な運営は、利用客減少の中で両社の業務を集約する「リストラ策」とも捉えられる。移転後の郵便局跡地の活用も今後の注目点である。