「鉄道+郵便局」のDNA覚醒? JR東日本×日本郵便、両者の融合は“歴史回帰”なのか

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郵便局業務と駅窓口業務の一体運営から始まった日本郵政とJR東日本の共創は、全国5駅で展開。1日50人前後の小駅でも有人化復活を実現し、物流・商流・再開発への拡張が進む新たな地域戦略である。

小さな取り組みの波及

横浜駅みなみ東口地区市街地再開発の計画地(画像:JR東日本)
横浜駅みなみ東口地区市街地再開発の計画地(画像:JR東日本)

 両社による共創の取り組みは、窓口業務の一体運営に留まらない。日本郵政グループとJR東日本グループは2024年2月21日、社会課題の解決に向けた連携強化に関する協定を締結した。窓口業務の一体化といった「郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化」に加え、

・持続可能な物流の実現
・アセット連携による共創型まちづくり
・地域産業振興と新たな地域事業創造
・デジタル化による地域の暮らし支援

の5本柱で従前の協定を強化したのである。

「郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化」では、今後両社グループ商材の取り扱いや地域住民が集えるラウンジ、行政窓口機能の導入など、地域のニーズに応じた機能追加を検討する。「持続可能な物流の実現」では駅の多機能ロッカーを活用したゆうパック受け取りサービスを展開する。「デジタル化による地域の暮らし支援」では、スマート健康ステーションで処方薬配送サービスを実施する。「アセット連携による共創型まちづくり」では、横浜駅みなみ東口地区の市街地再開発準備組合を設立した。「地域産業振興と新たな地域事業創造」では、東京中央郵便局や東京駅での産直フェアや郵便局でのJR東日本グループ商品の展開に着手している。

 とくに今後の進展が期待されるのは、「アセット連携による共創型まちづくり」である。日本郵政グループは大阪中央郵便局旧局舎跡地を含むエリアをJR西日本・JTBと3社で開発し、2024年3月に複合ビル「JPタワー大阪」を開業した実績がある。JR東日本管内でも、横浜駅みなみ東口地区以外に両グループが保有する近隣の土地や建物で大規模な再開発が進展する可能性がある。

 小さな駅での郵便局業務と駅窓口業務の一体運営から始まった両グループの共創は、今後、物流や商流、大規模再開発など、多方面に広がりそうだ。

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