軽井沢バス事故から6年 低価格競争からの脱却こそが長距離バスの「乗客」と「運転手」を守る

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バス業界は運転手の高齢化が進み、疲労の影響を受けやすく事故を起こしやすい環境になっている。安全への投資が消費者側から「見えない」と見えにくいことが課題となっている。

軽井沢バス事故から6年

貸し切りバス(画像:写真AC)
貸し切りバス(画像:写真AC)

 2016年の軽井沢バス事故から6年の月日が流れた。41人の乗客・乗員中、15人もの命が失われた大事故だった。

 事故後、原因に関する情報がまだ全くなく、現場の状況だけが伝えられる中、筆者(戸崎肇、経済学者)はあるテレビ局に呼ばれ、コメントを求められた。緩やかな緩斜面のカーブで、とても運転操作上の問題があったとは思われなかったため、

「居眠り運転ではないか」

とコメントしたのを覚えている。

 しかし実際には、大型バスをほとんど運転したことのない運転手の運転操作に問題があったことが後に判明した。運転手不足の中、自信のない運転手に無理に運転を強いた会社の責任が問われた。こうした事態は、その後果たして改善されたのだろうか。

コロナ後に再浮上する「運転者不足」

高速道路を走る貸し切りバス(画像:写真AC)
高速道路を走る貸し切りバス(画像:写真AC)

 コロナ禍も落ち着き、3年ぶりの行動制限なしとなった2022年のゴールデンウィークは、コロナ前のような人手を取り戻した。いずれGoToキャンペーンも再開されるだろう。

 また海外渡航の制限も緩和され、海外からの入国制限も緩和されれば、インバウンド(訪日外国人)も急激に増えるだろう。その強い追い風となるのは円安だ。

 そうなると、バス産業もその恩恵を被って活況を期待できる。しかしその反面、ふたたび運転者不足の問題に苦しむことになるかもしれない。

 このコロナ禍の状況で、多くのバス会社が経営難に陥り、リストラを行ってきた。まだ将来に不安が残る中で、そこから大規模な運転者の採用・育成に向かうのは考えにくい。仮にそうなっても、すぐに安心できるような安全運転ができるというわけにもいかない。

 先述のように、バスの運転には十分な経験と、それに基づいた安全運転ができる労働環境が整備されなければならないからだ。