トヨタは国内投資、テスラは技術拡大――戦略再編が進む自動車業界、地殻変動のカギは何か?
2025年、自動車業界は製造拠点戦略の大転換期に入った。中国OEMは2026年までに海外生産能力430万台超を計画し、VWは欧州で年間73万台削減と150億ユーロのコスト圧縮を実施。トヨタやテスラの戦略と相まって、各社の適応力が勝敗を分ける局面に突入した。
欧州製造業の高コスト克服

VWは2024年12月、労使合意に基づき2030年までの戦略再編計画を発表した。
・年間73万4000台分の生産能力削減
・3万5000人超の人員削減
・年間150億ユーロの持続可能なコスト削減
をともなう大規模な計画である。これらは2030年まで段階的に実施する方針だ。
再編の背景には、欧州製造業の深刻な高コスト問題がある。人件費やエネルギーコストの上昇に加え、環境規制の強化が生産コストを押し上げている。こうした構造的な競争力低下に対し、VWは抜本的な対応を迫られた。
注目すべきは、VWが撤退だけではなく
「戦略的最適化」
を選択した点である。ドイツ国内での削減と並行して、南米市場への投資も決定した。アルゼンチン工場に5.8億ドルを投資し、2027年から新型Amarokの生産を開始する計画だ。
この同時並行戦略には明確な意図がある。高コスト地域から段階的に撤退しつつ、成長市場には選択的に投資する。VWは削減と投資を組み合わせることで、全体として競争力の強化を図っている。
欧州製造業にとって、この再編は避けて通れない課題である。伝統的な技術優位性だけでは、もはやグローバル競争を勝ち抜けない。コスト競争力と技術革新力の両立、そして製造拠点の戦略的再配置が求められる時代に入ったのだ。