北陸新幹線「敦賀延伸1年半」――赤字70億円予測を覆したハピラインの奇跡! 課題残るも開業効果はいまだ継続

キーワード :
, , ,
北陸新幹線が敦賀まで延伸してから1年半。福井県を訪れる観光客数は高水準を維持している。並行する在来線「ハピラインふくい」も赤字を大幅に縮小し、健闘している。

訪日客誘致など課題も

福井駅前に設置された恐竜モニュメント(画像:高田泰)
福井駅前に設置された恐竜モニュメント(画像:高田泰)

 だが、課題も残る。そのひとつが

「訪日外国人観光客をあまり見かけない」

ことだ。近隣の京都市や金沢市は主要観光地を訪日客が占拠するが、9月下旬に関西からサンダーバードと新幹線を乗り継いで金沢市へ向かう乗客に福井県内で下車する訪日客をほとんど見なかった。街角を歩く訪日客もごく少数だ。

 福井県は観光庁の2024年宿泊旅行統計調査で日本人の延べ宿泊者数が約394万人泊を数え、対前年比伸び率23.7%で全国トップになった。しかし、訪日客は42.0%増の約9万2000人泊。都道府県別で島根県に次ぐ

「下から2番目」

から抜け出せていない。福井県内の観光名所が分散し、公共交通での移動に時間がかかるのも影響したとみられる。

 集客に苦戦する地域もある。越前市の武生商工会議所が2024年6、7月に実施した延伸効果調査では、73%が「なかった」、今後の効果に44%が「期待していない」と答えた。新幹線の越前たけふ駅と在来線の武生駅間は約4kmあるのに、2次交通の便が少ない。福井県観光政策課は

「人流から見ても越前たけふ駅周辺に課題が残る」

としている。

 福井県は敦賀延伸を100年に1度の好機と捉え、受け入れ準備に全力を挙げてきた。2015年の金沢延伸により金沢市で爆発的に観光客が増えたような勢いはないが、それでも開業効果が県全体に活力を与えている。

全てのコメントを見る