LRTは単なる交通手段ではない? 宇都宮が実証した「地価11%上昇」、経済効果810億円を生む「公共交通指向型開発」の正体
開業から2年で利用者1000万人を突破した宇都宮LRTは、渋滞解消と沿線地価11%上昇をもたらす「ネットワーク型コンパクトシティ」の中核。公共交通と都市開発を融合させた地方都市の新モデルとして全国の注目を集める。
宇都宮交通革命の全貌

宇都宮LRTが多くの利用者を獲得し「成功」と評価される理由は、新しい交通機関が導入されたからだけではない。LRTは宇都宮市が30年以上にわたり構想してきた「ネットワーク型コンパクトシティ」の中核を担う。好調な利用状況は、この緻密なまちづくり戦略の成果である。
LRTが走るルートは、JR宇都宮駅から鬼怒川を越え、市東部の住宅地や清原工業団地までを結ぶ。以前から朝夕の交通渋滞が深刻な課題だった区間である。専用軌道を多用するLRTは渋滞の影響を受けず、定時性を確保している。この信頼性の高さが、自動車やバスからの利用者転換を促した。通勤・通学など時間に制約のある利用者にとって、価値は極めて大きい。
さらに市は、LRT開業に合わせて大規模なバス路線の再編も行った。LRTと重複する長距離バス路線を減らす一方、各停留場に接続する地域内のフィーダーバスを多数新設した。LRTを幹線、バスを支線とする効率的な公共交通ネットワークが整い、沿線外の住民も利用しやすくなった。