LRTは単なる交通手段ではない? 宇都宮が実証した「地価11%上昇」、経済効果810億円を生む「公共交通指向型開発」の正体

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開業から2年で利用者1000万人を突破した宇都宮LRTは、渋滞解消と沿線地価11%上昇をもたらす「ネットワーク型コンパクトシティ」の中核。公共交通と都市開発を融合させた地方都市の新モデルとして全国の注目を集める。

TODで進む街の再設計

公共交通指向性開発の概念図(画像:JICA)
公共交通指向性開発の概念図(画像:JICA)

 栃木県は、宇都宮LRTを中心とした都市開発を「ネットワーク型コンパクトシティ」と位置づける。これは米国発祥の「公共交通指向型開発(TOD: Transit-Oriented Development)」の考え方に基づく。

 TODは、鉄道駅やバス停などの公共交通拠点を中心に、その徒歩圏内に住宅、商業、オフィス、文化施設などを集約する開発手法である。これにより、自家用車への依存を抑え、高密度で多機能なコンパクトな街の形成を目指す。

 日本では、高齢者の運転リスクを回避する手段として、TODによる自家用車非依存の都市設計にも期待が寄せられている。

 TODの形態は多様である。宇都宮LRTのように路面電車沿線に街が水平に広がるパターンのほか、東京・渋谷ヒカリエや大阪・あべのハルカスのように駅直上に住居や職場、商業施設を集約し移動負担を減らす垂直型も存在する。

 世界的には、ブラジルのクリチバ市でのバス高速輸送システム(BRT)を軸にしたTODが、成功例として知られている。

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