なぜ富裕層はフェラーリを所有するのか? 「1億円転売詐欺事件」から見えた、“社会的資産としての高級車”を考える
超高級車は節税、資産価値維持、富裕層ネットワークの三役割を持つ一方、市場の歪みや格差拡大も招いている現実を読み解く。
超高級車が魅せる構造

2025年9月10日、警視庁は不動産仲介業の男を逮捕した。男は「フェラーリを転売すれば1億円で売れる」と虚偽の投資話を持ちかけ、顧客の女性から現金4000万円をだまし取った疑いがある。被害総額は1億円にのぼるとみられ、男はその金でマクラーレンなどの高級外車を購入していたという。
一見するとよくある詐欺事件に過ぎない。しかし
「フェラーリを転売すれば儲かる」
という言葉が女性に響いた背景を考えると、超高級車が持つ経済的かつ社会的な構造が透けて見える。
なぜフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンといった超高級車は、富裕層をこれほどまでに惹きつけるのか。その理由を冷静に見ていくと、単なるぜいたくや見栄だけでは説明できない仕組みが浮かび上がる。