1万1000馬力の怪物「GRスープラ」、その戦略的価値とは? 市販車を超えたレーシングDNAの秘密

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2018年に公開されたGR Supra Racing Conceptは、市販前にレーシング仕様で世界に示され、1万1000馬力のFunny Carなど多彩なモデル展開でスープラのブランド力とモータースポーツ戦略を鮮烈に印象付けた。

市販前に走った幻のレーシングカー

GR Supra Racing Concept(画像:TOYOTA GAZOO Racing)
GR Supra Racing Concept(画像:TOYOTA GAZOO Racing)

 GRスープラのレーシングの歴史を象徴する2台の特別なマシンを改めて紹介したい。

 2018年3月のジュネーブ国際モーターショーで初公開された「GR Supra Racing Concept」は、特別なコンセプトカーである。実際のレースに参戦したマシンではなく、純粋に構想を示す試作車だった。

 最大の特徴は、市販モデルの発表に先立って公開された点である。GRスープラは市販前にまず「レーシングカー」の姿で世界に示された。

 この発表は世界中のファンの期待を高め、市販モデルへの関心を一層強めた。さらにPlayStation4用ゲーム『グランツーリスモSPORT』に収録され、発売前のレーシング仕様を仮想空間で体験できるという異例の展開も生まれた。

 コンセプトカーが示したデザインや思想は、その後開発された「GR Supra GT500」や「GR Supra GT4」など、さまざまなカテゴリーのレーシングカーへ明確に受け継がれている。

 このマシンは実際のレースには出走しなかった。しかし、GRスープラ復活への期待を鮮烈に印象付け、モータースポーツ展開の礎を築いた点で、ファンやレース界に与えた影響は計り知れない。

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