EVシフトで変わる勝負の軸! 日本の強みは自動車より「素材」かもしれない
日本車の世界シェア低下が鮮明になる中、年65兆円規模の素材産業が新たな成長軸に浮上する。EV向け高性能素材の輸出増は、貿易収支改善と製造業競争力強化をもたらす可能性を秘める。
日本の素材代替戦略

一方、レアアースやリチウムなどの希少鉱物を輸入に頼る現状は、さまざまなリスクを抱えている。EVバッテリーに必要なリチウムは中国やチリ、コバルトはフィンランドやフィリピンからの輸入に依存している。近年、アフリカでこうした重要鉱物の生産が増え、新たな輸入先として注目される一方、輸入依存は価格変動や輸出規制のリスクを顕在化させている。
モーターに使われるレアアースも、
「中国による供給支配」
が続き、経済安全保障上の懸念となっている。2025年4月には、トランプ政権の関税政策への対抗措置として、中国がレアアースの輸出規制を実施した。この措置は世界の自動車産業のサプライチェーンに影響を与えたが、外交努力により規制は緩和され、混乱は収束した。
日本は代替素材の研究を進め、経済安全保障リスクの回避を目指している。プロテリアルは重希土類を使わないEV用磁石を開発し、トヨタ自動車と出光興産は全固体電池向けの新素材を共同開発している。
リチウムイオン電池の代替として注目されるナトリウムイオン電池の研究も進む。素材リサイクル技術も強化され、住友金属鉱山は使用済みリチウムイオン電池から希少金属を回収し、再利用する事業を2026年に開始する予定だ。完成車メーカーとの連携により資源依存リスクを減らせれば、日本の競争力の長期的強化につながる。