EVシフトで変わる勝負の軸! 日本の強みは自動車より「素材」かもしれない
EV時代の素材競争

近年、グローバル市場で日本車のシェア低下が目立っている。日本経済新聞は2025年8月26日、2025年上半期の世界新車販売ランキングを報じた。トップ10に入った日本メーカーはトヨタ1社、ホンダ9位、スズキ10位の3社にとどまった。
日産は11位で初めてトップ10から外れた。ホンダとスズキは前年を下回る水準で、中国勢は急成長を示している。7位の比亜迪(BYD)や8位の吉利汽車は前年から約3割伸び、EVシフトにともない米中欧や韓国メーカーもシェアを急拡大している。日本勢はその流れに乗れず、伸び悩んでいる状況だ。
一方で、素材分野の競争力は高まっている。車の軽量化や衝突安全性に欠かせない高張力鋼板(ハイテン材)では、日本製鉄が世界をリードしている。ハイテン材は車体の4~6割を占め、外板パネルや足回り、内板、補強部材など幅広く使われている。
炭素繊維では東レ、三菱ケミカル、帝人の3社で世界シェアの52%を占める。モーターに必須のネオジム磁石はプロテリアルが先行して開発・量産し、小型化や高出力化、効率向上に貢献する。他にも炭素繊維ピッチ系(85%)、炭素繊維複合材料(61%)、黒鉛電極(65%)などで日本企業のシェアは高い。国内市場は海外企業の参入障壁が高く、特許や製造ノウハウが強みとなっている。
EVの普及にともない、今後重要になる素材分野には
・電池の正極・負極材
・モーター磁石
・半導体基板
などがある。NMC系電池正極材では日亜化学が世界シェアトップだ。電池負極材(グラファイト)では、上位4社の中国企業に次いでレゾナックが5位につけている。電力効率を高めるSiC(炭化ケイ素)パワー半導体は、ロームや三菱電機などが開発を進めている。EVではバッテリー重量が重く、航続距離向上のため軽量化が不可欠であり、高張力鋼板や炭素繊維が強みを発揮する。
日本企業の優位性は、世界シェアや技術・品質の高さにある。今後、差別化の中心は車体から素材へ移り、素材メーカーが主導権を握る時代が訪れつつあるといえる。