乗客「一番うまい店に連れてって」 タクシー運転手は実際、どう対応してるのか?
タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は「うまい店教えて」について。
あえて店を教えない場合とは

例えばラーメン店だと、地元の行きつけの店なら自信を持って言えるが、高田馬場(新宿区)や三軒茶屋(世田谷区)、下北沢(同区)のようにラーメンの激戦区だと申し訳ないが「この辺はうまい店ばかりですから」と当たり障りなく答えることもある。
紹介した店が万が一お客さんの口に合わなかったら、思わぬトラブルになる恐れがあるからだ。「変な店に連れて行かれた」と、よくある苦情として会社に通報されるかもしれない。
そんなことまで気を回すのかと思うかもしれないが、良かれとやったことが出しゃばり過ぎになることもある。それだけ客商売のタクシーは難しいということだ。
ラーメン店は運転手たち御用達
ラーメンの例を挙げたが、早くて安くてそれなりに安いラーメンはタクシー運転手たちも御用達のメニューだ。
こんな逸話がある。同僚の中野昭さん(仮名、60歳)は無類のラーメン好きで、休日も出番のときも毎日ラーメンばかり食べていた。飽きもせず毎日毎日。お盆も正月もメインはラーメン。
ところが運転中、突然に意識障害を起こして救急車で運ばれた。知らせを聞いた会社では大騒ぎになった。5年ほど前の昼過ぎのことだ。
倒れた原因は高血糖で、ラーメンの食べ過ぎが一番に疑われた。タクシー運転手は運動不足・寝不足・ストレスが重なる職業だから、食事には特に注意が必要だった。
中野さんはそれ以降、食事制限が設けられて、何となく元気も無くなった。営業も「流し」中心から駅の「付け待ち」に変わった。