なぜ目黒駅は「品川区」にあるのか? 地元の“猛反対説”は本当か
山手線の目黒駅は目黒区ではなく品川区にある。1885年の開業以来、「住民反対で移設された」という伝説が語られてきたが、真実なのか。生糸輸出がGDPを支えた時代に下された決断はいかに。
区端駅が生んだ街

では、なぜ鉄道忌避伝説は生まれたのか。その背景には、後世になって「鉄道が目黒区の中心を通っていれば、区はもっと繁栄したのではないか」という考えが生まれたことがある。
前述の「歴史を尋ねて」にはこう記されている。
「明治、大正期に開通した鉄道は、いずれも区の端を通るものであり、その恩恵を受ける人びとも限られていた。目黒の真ん中を通る鉄道を待つ声が出るのは、当然の成り行きであった」
と。目黒区は1932(昭和7)年10月に成立した。目黒町と碑衾(ひぶすま)町が合併したもので、区役所は当初、目黒区中央町2-4-18に設置された。2003(平成15)年、中目黒駅から徒歩5分の現在地に移転するまで、長らくここにあった。
区民にとって、区役所は中央にあるのに鉄道駅は区の端にあるのは不便だった。目黒区誕生時点で、東急東横線(1926年開業)と東急目黒線(1923年開業)はすでに存在していた。
交通の便は悪くなかったが、「山手線が区の中心を通っていればさらに便利」と考える人々が現れ、「なぜ目黒駅はあんな場所にあるのか」という疑問が伝説を生んだのだろう。