「5歳で激減」チャイルドシート着用率、いったいなぜ?
5歳で急落する使用率

警察庁と日本自動車連盟(JAF)の全国調査によれば、1歳未満のチャイルドシート着用率は91.7%である。1~4歳では80.7%に低下する。ところが5歳になると57.9%まで急落する。道路交通法では6歳未満の着用を義務としているにもかかわらず、5歳を境に使用率が大きく減少している。この落差は制度設計、製品供給、家庭の利用環境、そして消費者心理が複雑に絡み合った結果である。
法律は「6歳未満まで」と定められているため、多くの家庭は「あと1年で外せる」と認識する。特に年中・年長児を抱える家庭では、義務終了を前提に使用をやめる傾向が強い。しかし子どもの体格は大きくばらつき、5歳児の平均身長は110cm前後、体重は約18kgである。シートベルトが適切に作用する目安の150cmには届かない。身長や体重の個人差を考慮すると、5歳児でも装着不足によるリスクは依然として高い。
年齢別の着用率は、都市部より地方でやや高いと予想される。しかし5歳前後の落差は全国共通で確認される。これは親の怠慢というより、制度上の区切りが保護者の行動に直接影響していることを示す。多くの保護者が
「もうすぐ義務が終わる」
と考え、科学的根拠よりも制度上の年齢区切りを優先して判断していると考えられる。
ジュニアシート普及不足

乳児期にはチャイルドシートが必須とされ、多くの家庭で購入される。しかし5歳前後になると、次に必要なのは学童用ジュニアシートである。価格は決して安くなく、短期間しか使わないという意識や兄弟での使い回しが難しい事情から、導入が後回しにされる傾向が強い。
さらに日本のカーシェアやレンタカーでは、乳幼児用シートは整備されているものの、学童用シートは十分に揃っていない場合が多い。都市部の非所有世帯では、利用機会そのものが制限される。この供給不足が家庭の判断を使わない方向へ傾ける一因になっている。
チャイルドシートは取り付けに手間がかかる。幼児が自分で乗り降りできる年齢になると、「邪魔になる」「嫌がる」といった理由で外されることも少なくない。取り付けにかかる時間や負担感は、毎回数分以上かかる、車の乗降でストレスが増すと感じる保護者も多い。この日常的負担は、科学的リスクを理解していても「外した方が楽だ」という選択を誘発する。
海外では軽量・折り畳み式シートや、座席に固定するだけで装着完了するモデルなど、親の負担を減らす設計改善が進んでいる。日本でもこうした製品の導入余地は大きい。