白物家電を捨て、「鉄道」で世界を獲る日立! タレス買収・「ルマーダ」が切り拓く「2兆円構想」の可能性とは
白物家電の売却を視野に入れた日立は、鉄道×DXの融合で成長を加速する。2024年度に1.2兆円だった鉄道売上を、2030年度に2兆円へと拡大する構えだ。タレス交通部門の買収を追い風に、欧州を中心に大型案件を獲得。競合が激化する中、自律分散型戦略で持続可能な成長を狙う。
日立鉄道事業の拡大戦略

日立が鉄道分野の売上を2024年度の1.2兆円から、2030年度に2兆円へと拡大するのは容易ではない。2023年度の鉄道事業売上高は8561億円にとどまった。コロナ前の水準で、世界大手であるアルストム、シーメンス、ボンバルディアの売上規模は年8000~9000億円とされていた(ボンバルディアの鉄道部門であるボンバルディア・トランスポーテーションは、2021年1月29日にアルストムに買収された)。日立はこれらの競合に肉薄し、善戦しているといえる。売上高ではまだ及ばないものの、着実に追い上げを図ってきた。
さらに日立は、フランスの防衛・航空宇宙大手タレス社の交通システム事業を買収した。タレスのグラウンドトランスポーテーションシステムズ部門(GTS)の獲得により、日立は世界51か国で事業を展開する体制を得た。加えて、高利益率の信号システム事業が売上の半分以上を占める成長軸となっている。
この買収により売上は2800億円以上増加し、2024年度には内部努力も加わって1.2兆円に達した。北米と欧州の車両および信号事業の成長が主要因である。
日立の鉄道事業戦略は「Hitachi Investor Day 2025 モビリティ事業戦略説明資料」に詳述されている。現時点で6兆2000億円の受注残があり、この着実な履行とGTSとのシナジー効果でさらなる成長を目指す。ドイツ鉄道制御システムの2400億円案件など、欧州市場にも深く食い込んでいる。
また、日立はDXによるイノベーション分野で有力な人材を抱える。センサーを活用した事故・故障の予知保全など、デジタル技術によるサービスモデルの具現化にかじを切っている。