「駅でスマホをいじる」ってそんな悪いの? 風刺画が巻き起こしたSNS論争、97%普及の現実を考える
高齢層のデジタル格差実態

NTTドコモ モバイル社会研究所の2024年1月調査によると、日本の携帯電話所有者のうちスマホの比率は97%に達した。2010年の約4%から急速に普及し、2015年に50%を超え、2021年には90%を超えている。
年代別では、70代以上のシニア層でも9割以上がスマホを所有し、未所有は1割未満にとどまる。スマホを2台以上所有する割合は全体で11.4%。男性は14.2%、女性は8.7%で男性のほうがやや多い。特に若年女性では2台以上所有が顕著で、15~19歳女性の約2割がスマホ(タブレット含む)を2台以上所有している。
電車の待ち時間にスマホを操作する行動は、一見受動的な時間潰しに見えるかもしれない。しかし視点を変えれば、合理的な行動だ。混雑したホームで数分間立ち尽くし、会話も物理的な活動も制限される状況で、スマホは入力と出力を同時に処理できる数少ない道具である。情報取得や思考整理、場合によっては業務処理も可能にする。つまり、スマホ操作は感覚の麻痺や依存ではなく、制約下での機能的選択とみなせる。
風刺画では唯一スマホを持たない高齢者が空を見上げている。これは
・人間本来の姿
・デジタルに依存しない豊かさ
の象徴だろう。しかし問題はここにある。高齢層の多くがスマホを使いこなせない構造的なデジタルディバイドが存在する。60代では約4割、70代で約6割、80代になると約7割が「使いこなせていない」(あまり使いこなせていないを含む)と回答している。60~70代では女性の割合が高いが、80代では男性の割合が上回る(NTTドコモ モバイル社会研究所 2024年1月調査)。
つまり、スマホを使わない選択は「技術格差の帰結」である場合が少なくない。風刺画でそれを美化することは、現実から目を背けることになりかねない。