スマホ高齢者は9割超! 「紙の地図」が消える時代、交通アプリ依存が招くデジタル分断の深淵とは

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高齢者のスマホ保有率が70代で85%、80代でも66%と急上昇。交通系アプリは移動支援だけでなく、健康や家計管理にも寄与するインフラとなりつつある。一方、操作の難しさやデジタル格差が課題に。今、アプリ開発と地域支援が交差する「高齢社会のモビリティ革新」が始まっている。

高齢者支援の最前線

交通系アプリの今後の展望は?(画像:写真AC)
交通系アプリの今後の展望は?(画像:写真AC)

 利便性の高い高齢者向け交通系アプリにも、課題がある。その筆頭が「デジタルデバイド」だ。

 総務省の『令和5年 情報通信白書』によると、70歳以上のインターネット利用率は他世代に比べて依然として低い。デジタル機器の操作に不慣れな高齢者が一定数存在している。内閣府の調査でも、高齢者がスマートフォンを使わない理由として

「自分の生活には必要ない」
「使い方がわからない」

といった回答が目立つ。

 操作性への不安も深刻だ。実証実験では、「スマートフォンで経路を確認したいが、マップが動く仕様に戸惑う」との声が寄せられた。現実には、移動中に道に迷った際、掲示板や紙の地図、人への質問などアナログ手段を頼るケースも多い。

 こうした課題に対し、改善の取り組みが進んでいる。実証実験の結果を反映し、高齢者向け地図・ナビアプリには休憩施設の情報表示や印刷機能など、新たな機能が追加された。

 教育支援も広がっている。総務省は「デジタル活用支援推進事業」を展開。全国の携帯ショップなどで高齢者向けの無料講習会を実施し、デジタル活用への不安解消を図っている。

 地域交通の現場でも変化がある。地方自治体では、デマンドバスやオンデマンド交通の導入が加速している。MONET Technologiesは2023年7月、LINEと連携した予約オプションを開始。高齢者がLINE公式アカウントを通じて、直感的にバス予約できる仕組みを提供している。わかりやすいUIが特長で、デジタル格差の解消にもつながる。

 今後はAIや音声認識の進化により、さらに直感的な操作が可能になると期待される。高齢化が進むなか、交通系アプリは社会参加や生活の質向上を支える基盤として、ますます重要性を増していくだろう。

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