「神戸の玄関口」が廃墟同然? 駅直結モールは空き区画「7割」という現実、神戸市は再生ビジョンを描けるか
駅前広場や生田川公園も再整備

コトノハコ神戸は民間施設。本来なら運営企業に任せるべきなのだろうが、市の玄関口とあって、神戸市も現状を放置できなくなってきた。久元喜造市長は7月中旬、神戸市中央区の神戸ポートオアシスで開かれた新神戸市基本構想の討論会で「水面下でいろんな取り組みを始めた」と明かした。担当部局の神戸市都市づくり課は
「どういうふうに改善すればいいのか、官民いっしょに考えたい。現在は運営企業とコミュニケーションを取りながら、検討を始めている段階」
と説明する。
神戸市は駅周辺リニューアル事業のリノベーション神戸で、新神戸駅前広場や近くの生田川公園を再整備する構想を持つ。駅前広場は新幹線改札口と同じ2階にバス、タクシー乗り場を集約する方針だ。生田川公園は桜や中華街風の休憩施設を生かせるにぎわいの場にする。
神戸市はこれら再整備で駅前の魅力向上を図りながら、コトノハコ神戸の再生を目指していくとみられる。だが、三宮地区から見ると、六甲山ふもとの新神戸駅は北のはずれ。よほど魅力的な施設を入れないと、三宮地区からわざわざ足を運んでくれそうもない。三宮地区で進む大規模再開発も新神戸駅周辺の立ち位置に影響を与える可能性がある。
商業施設のリニューアルでは集客力を持つ大型施設や店舗をずらりと並べ、その相乗効果で客を増やす手法が一般的だ。しかし、コトノハコ神戸の規模は中途半端で、大型施設や多様な人気店を並べるには売り場面積が足りない。
逆に大規模な再開発に乗り出せば、身の丈に合わない施設になって余計に傷口を広げかねないが、新幹線の乗降合計で1日2万人近いと推計される地下鉄、バスとの乗換客を取り込むことができれば、明るい兆しが見えてくる。
八方塞がりに見える厳しい状況のなか、現状を打開する方策を見つけ出すことができるのか、神戸市の力量が問われそうだ。