「神戸の玄関口」が廃墟同然? 駅直結モールは空き区画「7割」という現実、神戸市は再生ビジョンを描けるか
新神戸駅周辺に欠ける集客力

コトノハコ神戸に人が集まらないのは、新神戸駅の特殊性が関係している。新神戸駅には山陽新幹線のほか、神戸市営地下鉄西神・山手線が乗り入れ、駅前から都心部の三宮方面へ向かう神戸市営バス、四国や淡路島方面の高速バスなどが運行している。しかし、JR西日本の在来線は乗り入れていない。
神戸市内発着の乗車券に限り、在来線の三ノ宮、元町、神戸(ともに中央区)、新長田(長田区)のJR4駅と新神戸駅を乗り継ぐ特別下車ができるが、兵庫県統計書によると、新神戸駅の新幹線乗車人員は2023年度で1日平均約9600人にとどまる。
JR西日本の駅別乗車人員ランキングで上位50位に入らず、山陽新幹線の発着駅では
・新大阪(大阪市淀川区)
・博多(福岡市博多区)
・広島(広島市南区)
・岡山(岡山市北区)
・小倉(北九州市小倉北区)
の5駅を下回る。乗り継ぎの不便さから、神戸市民でも在来線と新幹線を同一駅で乗り換えられる新大阪駅を使う人が少なくないからだ。
周辺には、北野異人館や日本の滝百選に入る布引の滝があるが、姫路城(兵庫県姫路市)や道頓堀(大阪市中央区)、清水寺(京都市東山区)ほどの吸引力はない。新幹線利用以外で新神戸駅へやってくる人は限られる。地下鉄を使えば、新神戸駅から三宮駅までわずか2分。この
「微妙な距離」
もマイナスに働いている。新幹線乗車前後に食事を取り、買い物するのは、店舗が多い三宮地区。新神戸駅周辺を単なる「乗り換えの通過点」と考える旅行者が多い。
コトノハコ神戸は新幹線改札と地下鉄改札を結ぶ構造になっているが、新幹線改札に対応するのが地上3階で、地下鉄改札は地下3階にある。上下移動が大きく、改札間の動線になりきれていない。2.5次元劇場はマニアを集めているものの、公演が毎日あるわけでなく、観客数も周辺テナントの営業が成り立つほどでない。