なぜ日本はインドに「次世代新幹線」を提供するのか? 少子高齢化で縮む国内市場と「リニア技術」が示す国家戦略
次世代新幹線が日本とインドでほぼ同時に運行開始へ。14億人市場インドでの高速鉄道プロジェクトは、日本の産業命運をかけた国家戦略の一環だ。国内鉄道の縮小を背景に、政府は無償譲渡を含む積極的な技術輸出で国際競争力再構築を狙う。2030年営業開始予定のE10系は、安全性とバリアフリーを強化し、アジア・アフリカ市場の標準化を視野に、成長と影響力拡大の起点となる。
経済成長と国際競争力
国土交通省は、インフラシステムの海外展開を「我が国の持続的な経済成長の実現」「相手国の経済発展と社会が抱える課題解決への貢献」「地球規模課題解決への貢献」と位置付けている。
同省の「インフラシステム海外展開行動計画」では、新たな戦略の柱として以下を挙げている。
・相手国との共創を通じた我が国の「稼ぐ力」と国際競争力の強化
・経済安全保障など新たな社会的要請への迅速な対応と国益の確保
・GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)など社会変革を機動的に取り込む対応
インフラシステム輸出の受注実績は、コロナ禍の影響もあり2020年は約24兆円にとどまったが、2019年には約27兆円を記録するなど増加傾向にあった。受注増加は経済成長に寄与し、一定の成果を生んでいる。また、受注拡大にともなう企業の努力で、生産性向上や技術革新が進み、産業の発展も期待されている。
日本のモノづくりの強みと国際的な地位を維持するために、鉄道技術の輸出は今後も重要な役割を果たすだろう。