羽田再開発“540億円”の大誤算? 「空港隣接」でも人が全然いない根本理由
HICityの静寂と空室群

しかし、この巨大プロジェクトは残念ながら成功していない。特に第一ゾーンの「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」の状況は深刻だ。近年では複数のユーチューバーが“失敗例”として取り上げるほどになっている。
筆者(宮田直太郎、フリーライター)もその実態を確かめるべく、2025年6月末に現地を訪れた。天空橋駅からエスカレーターを上がり施設に入ると、総工費540億円ともいわれるだけあって、建物は豪華でデザイン性も高い。
しかし、テナントの入りは芳しくない。駅から出てすぐの導線上、階段を上がった直後のエリアにもかかわらず、両サイドに店舗が入っておらず、空きスペースが目立った。立地としては悪くないが、現状はがらんどうだ。実際、入り口付近ではタリーズコーヒーを除き、他の店舗には人影がほとんど見られなかった。開業からわずか2年で、すでにゴーストタウンの様相を呈している。
訪れたのは日曜日の15時。平日であれば研究開発拠点として企業の研究員なども出入りするだろうが、週末であってもホテル、飲食店、ライブハウスがある複合施設にしては異様に静かだった。
奥に進むと、Zepp Haneda近くではライブグッズを買いに来た客や、展望デッキ付近では足湯や飛行機撮影を楽しむ航空ファンの姿がちらほら見えた。それでも、空港ターミナルの賑わいには到底及ばず、全体としては寂しい印象が拭えない。
京急EXインが入るJ棟では、1階へのエレベーターが封鎖されていた。このフロアには起業家やクリエイターの交流拠点「Innovation Salon」が入居しているが、土日は営業していないようだ。とはいえ、ホテルと併設する施設で週末に閉まっている区画があるのは、やはり異常だ。
いまのままでは、地方の寂れたショッピングモールと同列に語られても仕方がない。少なくとも商業施設としての機能は、苦戦が続いている。