高速バス「相席ブロック」なぜ横行? 「安すぎるキャンセル料」が招く悲劇と、1億人を巻き込む迷惑行為の深層
より深刻な問題になっている理由

そもそも利用者がそれほど多くなければ、相席ブロックが発生しても大きな問題にはならないかもしれない。だが近年、物価高騰の影響で、高速バスが
「安価な移動手段」
として再評価されている。例えば東京~大阪間の移動費を比較すると、新幹線の普通車指定席は約1万3870円。格安航空会社(LCC)は5000円から1万円程度だ。これに対し、高速バスは最安で4000円前後という破格の料金設定となっている。
とくに夜行バスの需要が急増している背景には、宿泊費の高騰がある。WILLER EXPRESSの調査によれば、宿泊料金はコロナ前と比べて約30%上昇した。この影響で、夜行バスを
「移動と宿泊を兼ねた手段」
として選ぶ利用者が増えている。高速バスの年間輸送人員は、
「約1億1000万人」
を超える。これは国内の航空業界(約9000万人)を上回る規模だ。2024年の年末年始には、高速バスの利用者数が前年同期比で14%増加。予約の早期化も進んでいる。
こうした需要の高まりが、座席確保をめぐる競争を激しくしている。バスタ新宿の1日平均利用者数は約2.1万人。繁忙期には最大で約4.1万人に達する。人気路線では予約が取りにくくなっており、このような状況下では相席ブロックのような迷惑行為は、決して見過ごせない問題である。
さらに、ドライバー不足も事態を深刻化させている。いわゆる2024年問題として、バス業界では時間外労働の上限が年960時間に規制された。加えて、改善基準告示により、1日の拘束時間は13時間以内、休息時間は連続11時間以上の確保が義務付けられている。
バス業界では労働環境の改善が少しずつ進んでいる。しかし、増加する需要とのバランスが取れていない。ドライバー不足により、増便したくてもできない状態が続いている。