かつてのトヨタを彷彿? ベトナム初の自動車メーカー「ビンファスト」が仕掛けるアメリカ本格進出と周到な「手土産」
ベトナムの「トヨタ」となれるか

ベトナムは長きに渡ったベトナム戦争(1955~1975年)後、めざましい経済発展を遂げた。
コロナ前の2019年国内総生産(GDP)成長率は7%。コロナ禍でスーパーロックダウンをしていた2020年からの2年間もプラス3%前後と成長を遂げており、世界銀行は2022年のベトナムのGDPはプラス5.5%と予想している。
国民の所得はこの10年で約3倍と右肩上がりだ。戦後の経済復興の様子や、アメリカの自動車産業への進出を見ると、数十年前のトヨタと重なる点が多々あるように思える。ただ、アメリカ市場での認知度の面では、ビンファストはトヨタに遠く及ばない。
過去、日本が戦後めざましい経済復興を遂げ、安価で燃費のいい日本車をアメリカへ輸出するようになると、それが日米貿易摩擦の一因となった。
1980(昭和55)年には、日本の自動車生産額がアメリカを抜いて世界一位となり、貿易摩擦が深刻化していった。アメリカの自動車メーカーの販売不振からレイオフが拡大し、「日本は失業を輸出してる」といった反発を軽減するため、トヨタはアメリカ進出から25年以上を経た1985年にケンタッキー州に工場を選出、現地アメリカでの雇用機会を創出してきた。
このようなトヨタの教訓からか、ビンファストはアメリカ進出にあたり、まずアメリカでの工場建設に着手することで、現地での雇用機会を創出する「手土産」を用意してアメリカ市場へと乗り込んでいる。
ビンファストは、ロサンゼルスに本社としてビンファストグローバルを設立。また、2022年3月に米ノースカロライナ州に最大20億ドルを投じて電気自動車とバッテリーの工場を建設する覚書に調印した。2024年7月の完成を目指しており、年間生産台数は15万台を見込んでいる。
アメリカ大統領のバイデン氏もツイッターでビンファストの工場建設について7000人の雇用が創出されるとメンションしており、アメリカでの注目の高さも伺える。歴史から学び、用意周到に準備を進めるビンファスト。もしかすると、ベトナムのトヨタとなる日も近くまで来ているのかもしれない。