なぜマツダは「国内市場」を強化するのか? 全販売のわずか「1割強」なのに──トヨタ技術との共存、今後どうなる
マツダは2024年度にグローバル販売130万台超、うち米国で43万台と約3割を占める。米国依存のリスクを背景に、国内市場を単なる販売拡大ではなく構造改革の場と位置づける。新型ハイブリッドの投入や販売網再編を軸に、顧客体験の質向上と安定経営を目指す挑戦の全貌に迫る。
日本市場に適合する販売戦略

マツダは、経営哲学であるブランド価値経営を実践し、米国市場でビジネスを成長させてきた。この成功経験を踏まえ、日本市場でもビジネス構造変革の加速を図る。
2024年度の米国販売は、スポーツタイプ多目的車(SUV)を中心に展開し、前年比20%増と順調な成長を続けている。特に店舗の新世代化に注力し、米国の販売網の約7割を刷新した。新世代店舗での新車販売は約9割に達し、1店舗あたりの販売台数は900台を超える見込みである。
しかし、米国の成功モデルをそのまま日本に適用できない事情がある。日米で販売手法が異なるためだ。米国では消費者が販売店を訪れ、在庫車から購入車を選び、試乗して決定するのが一般的である。対して日本では、販売員と顧客が商談を通じて販売を進める形態が主流だ。よって、日本で米国同様に店舗を新世代化しても、集客や販売拡大に直結しない面がある。日本市場では、顧客との接点強化がより求められている。
この取り組みの一環として、2025年2月に東京・南青山にマツダブランドの体感施設「MAZDA TRANS AOYAMA」が開設された。ここでは顧客とのブランド接触点を再設計し、価格競争を回避しつつ共感形成を目指している。プロモーションの質的転換と位置付けられ、今後のファン獲得増加が期待される。
また、2025年1月に新会社「マツダビジネスパートナー」を設立し、販売会社の間接業務を集約した。これにより販売店の役割を明確化し、顧客対応に集中できる体制を整えた。固定費削減だけでなく、顧客業務の集中化で体験の均質化を図る。店舗負荷の軽減は販売員育成の強化にもつながり、バランスの取れた組織再編となっている。