なぜマツダは「国内市場」を強化するのか? 全販売のわずか「1割強」なのに──トヨタ技術との共存、今後どうなる
マツダは2024年度にグローバル販売130万台超、うち米国で43万台と約3割を占める。米国依存のリスクを背景に、国内市場を単なる販売拡大ではなく構造改革の場と位置づける。新型ハイブリッドの投入や販売網再編を軸に、顧客体験の質向上と安定経営を目指す挑戦の全貌に迫る。
米依存脱却狙う国内回帰

マツダが国内販売の構造改革に踏み切った背景には、トランプ政権下で発動された自動車追加関税の影響がある。米国依存の高いマツダにとって、こうした関税政策はグローバル戦略を妨げる大きなノイズである。実際に関税が発動されることで、そのリスクが現実の課題として浮上した。
さらに、対中包囲網を強める米国の通商政策により、グローバル戦略の重要度は一段と高まっている。為替の先行きにも不透明感が漂い、円安の恩恵がどこまで続くかは読みづらい。日本からの輸出に大きく依存するマツダにとって、外的変動への耐性強化は不可避の経営課題となった。
こうしたなか、2025年6月25日に開催された定時株主総会で、毛籠(もろ)勝弘社長は現状を「経営の適応力を一段と高める機会」と表現。2000億円規模の固定費・変動費削減を通じ、収益構造の安定化を目指す姿勢を示した。
販売の大半を海外市場に依存するマツダのような輸出偏重モデルでは、関税や為替の影響は経営を大きく揺るがす。このため、国内市場の再構築によって事業ポートフォリオの均衡を図る判断に至ったと考えられる。
重点市場として選ばれたのは、東京・大阪など10の都市圏。都市部への集中展開により、販売ネットワークの効率性を高める構えだ。一方で、地方販売網の再構築にも着手する見込みである。
マツダは、販売効率を重視する「重点店舗」を全国で300店に設定。各店舗の年間販売目標は400台に据えた。これは単なる営業戦術の見直しではなく、ブランド体験の再構築を図るリブランディングの一環とも読み取れる。狙いは販売数量の拡大ではなく、
・販売体験の質
・人材配置の最適化
にある。