「トヨタ工場停止」は序章にすぎない──サプライチェーンを揺るがす9つのリスク! 問題はトランプ関税だけではない

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予測不能な「9種のリスク」が企業の供給網を直撃する今、問われるのは変化への対応力。関税、災害、人権、サイバー攻撃──複雑化する事業環境に対抗する鍵は、分散と連携による“しなやかなサプライチェーン”の戦略構築にある。

多拠点分散で自然災害対策

人権のイメージ(画像:Pexels)
人権のイメージ(画像:Pexels)

 サプライチェーンのリスクマネジメントが難しいのは、調達先や納品先の事業が停止すると、自社の事業にも影響が及ぶ点にある。自社のリソースだけを対象に事業継続計画(Business Continuity Plan)を作成しても、事業の持続性・安定性は十分に高まらない。

 実際、東日本大震災やタイの洪水などの大規模自然災害では、調達先の被災によるサプライチェーンの途絶が問題となった。自社が被災していなくても、材料や部品を調達できず事業を停止した企業が相次いだのだ。

 大手企業は事業の持続性・安定性を高めるため、複数の企業から材料や部品を調達することが一般的だ。火災や事故などの人為災害リスク、倒産や不祥事といった企業リスクに対しては、この複数調達によるリスクヘッジが一定の効果を発揮する。

 しかし、地震や水害といった大規模自然災害の場合、調達先が複数あっても、生産拠点が同じ地域に集中していれば意味が薄い。自然災害の影響を一様に受けてしまうためだ。リスクマネジメントを強化するには、調達先の企業だけでなく、拠点の場所も分散させる必要がある。

 また、直接の調達先である一次サプライヤーだけでなく、その先の二次以下のサプライヤーも分散させることが重要だ。直接調達先を分散しても、特定工場で作られた部品が多く使われていれば、一度の災害でサプライチェーンが途絶するリスクがある。つまり、間接的な調達先を含めたサプライチェーン全体を把握しなければ、途絶リスクはヘッジできない。

 この調達先の分散化は、政策リスクや地政学リスク、公衆衛生リスク、人権リスクへの対応力も高める。特定の企業や場所でリスクが発生しても、代替先に切り替えることで事業への影響を軽減できるからだ。

 一方で、サイバーリスクに関しては調達先が増えるほどリスクも高まる。セキュリティが脆弱な調達先を経由して攻撃を受ける可能性が増すためだ。したがって、間接的な調達先も含めて一定水準以上のサイバーセキュリティを求めるなど、対策を講じることが重要となる。

 さらに、サプライチェーンはモノの輸送をともなうため、リスク発生で平時の輸送手段やルートが使えなくなる可能性がある点も考慮しなければならない。幹線道路が寸断された場合は船で輸送し、A港が封鎖された場合はB港から出荷するといった代替手段やルートを平時から検討しておくべきだ。リスク発生時に代替策を円滑に使えるよう、事前に代替先と契約を結ぶことも有効である。

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