「世界に誇る日本の自動車」は本当か?──そんな自負がDX・EV化を遅らせる? 変革期に潜む構造的危うさの正体とは

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日本の製造業全体の約17%、GDPの約1割を占める自動車産業。しかし、人口減少や利用形態の変化が国内市場を縮小させ、産業構造の再編が急務となっている。長年の基幹産業の地位を維持するには、政策と企業戦略の抜本的な見直しが避けられない。

数字から見る自動車産業

日本自動車工業会発行「2024 日本の自動車工業」より抜粋(画像:日本自動車工業会)
日本自動車工業会発行「2024 日本の自動車工業」より抜粋(画像:日本自動車工業会)

 自動車産業の輪郭を、各種の数値から整理する。

 製造業が国内総生産(GDP)に占める割合は約2割。そのうち自動車産業が約半分を構成し、GDP全体の1割を担っている。サービス業(約4割)に次ぐ規模であり、国内経済の中核的存在といえる。

 2023年の日本の輸出総額は約100兆円。そのうち自動車の輸出額は約22兆円に達し、輸出品目のトップを占めた。一方で、自動車の輸入額は約3兆円にとどまっており、自動車産業が輸出主導型であることがわかる。

 雇用面では、自動車関連産業の就業者数は558万人。全就業者のおよそ8%に相当する。税収への寄与も大きい。2024年度の租税収入117兆円のうち、自動車関係諸税は約9兆円を占める。消費税、重量税をはじめとした保有・走行に関する9種前後の税負担が課されており、自動車ユーザーは国家財政を支える存在ともいえる。

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