「世界に誇る日本の自動車」は本当か?──そんな自負がDX・EV化を遅らせる? 変革期に潜む構造的危うさの正体とは
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日本の製造業全体の約17%、GDPの約1割を占める自動車産業。しかし、人口減少や利用形態の変化が国内市場を縮小させ、産業構造の再編が急務となっている。長年の基幹産業の地位を維持するには、政策と企業戦略の抜本的な見直しが避けられない。
「基幹産業」が使われる理由

自動車産業は「日本の基幹産業」と称される。その根拠はどこにあるのか。
日本自動車工業会によると、2022年の自動車製造業の出荷額は62兆7942億円。全製造業の約17%、機械工業全体の約39%を占める。設備投資では主要製造業の2割超、研究開発費でも全体の3割近くを担う。こうした数値が、自動車産業が日本の主要産業であることを裏づけている。
政治やメディアの扱いも、自動車産業の存在感を際立たせる。歴代首相が自動車メーカーのトップと頻繁に会談し、主要メディアも自動車関連のニュースをトップで報じる傾向がある。こうした光景が基幹産業としての印象を強めてきた。
自動車産業への保護や支援には、国益を掲げるレトリックが多用される。鉄鋼、造船、石炭と並び、かつてから基幹産業とされてきた。生活基盤を支える産業として、自動車は別格の扱いを受けてきた側面がある。
本稿では、自動車産業がいまも日本経済の中核を担っているのかを再検証し、その将来を考察する。