コンコルドはなぜ消えたのか? マッハ2の夢の終焉! 燃費3倍と「ソニックブーム」の壁とは

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大西洋を3時間半で横断した“空のロールスロイス”──最速マッハ2.04の超音速旅客機コンコルド。2003年の退役から20年、約300万人が搭乗した幻の名機は、なぜ現代に継承されないのか。映画『エアポート’80』に描かれた夢と、現実の経済的限界を読み解く。

モビリティ業界における“逆進化”

1981年8月、航空ショーで低空フライバイを行うコンコルド(画像:E Gammie)
1981年8月、航空ショーで低空フライバイを行うコンコルド(画像:E Gammie)

 技術的には実現可能だった超音速旅客機は、経済性と環境負荷の問題によって姿を消した。自動車、鉄道、船舶はいずれも技術革新によって速度を高めてきた。市販車では一部のハイパーカーが時速490kmに達し、鉄道もリニアモーターカーを含めて500km/h超の時代が現実味を帯びている。

 しかし、航空分野では事情が異なる。現在の主要な商業機であるボーイング747-8型の巡航速度はマッハ0.855にとどまり、1970年代のコンコルドの速度を下回る。速度という観点に限れば、これは世界の交通史においてほぼ唯一の「逆進化」と言える現象である。

 近年、米国の航空機開発企業が民間の超音速旅客機の復活を目指して動き始めている。例えば、ブーム・スーパーソニックの「オーバーチュア」やスパイク・エアロスペースなどがその代表だ。

 これらの企業は、騒音や温室効果ガスの問題に対応するため、技術開発を進めている。ただし、燃費や静粛性、カーボン排出への対応といったすべての条件を満たさなければ、商業運航の再来は難しい。実用化には、なお長い道のりがある。

 人類の未来に、再び超音速の“航跡”が描かれる日は来るのか――。

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