なぜトヨタは「日野」を手放すのか? 三菱ふそうとの統合劇、巨艦連合は救世主? 認証不正の傷、トヨタの深謀遠慮とは

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商用車業界で進む再編の核心に迫る。日野と三菱ふそう、年商1兆円超の2社が電動化・国際競争の荒波を乗り越えるべく統合へ。背後にはトヨタとダイムラーの静かな駆け引きも。単なる合併では終わらない構造変化が始まった。

米中と日本の間で揺れる車輪

三菱ふそう・eキャンター(画像:三菱ふそう)
三菱ふそう・eキャンター(画像:三菱ふそう)

 両社による経営統合が具体化した背景には、

・商用車の電動化競争の激化
・トランプ関税による世界的な貿易摩擦への懸念
・大型車両の内需縮小

といった要因がある。米国では、トランプ政権下で製造業の復活を掲げた政策が進行している。一方、中国では政府主導のもと、バッテリーやデジタル制御技術が急速に商用車分野へ展開されている。こうした両極の間で、日本のトラックメーカー各社は厳しい選択を迫られている。

 ダイムラートラックは、北米市場での販売が全体の4割近くを占める。生産・販売拠点も強固で、再編を重ねつつ着実な前進を図っている。一方、トヨタグループは商用車を事業の中心とは捉えておらず、日野にとって日本市場は全体の3割程度にとどまる。むしろ国内市場は、グローバル戦略における“実験場”の性格が強い。

 こうした構図のなかで、日野と三菱ふそうの統合は、日本発の技術開発を国際競争につなげるための布石と位置づけられる。日産とホンダが経営統合に至らなかった乗用車業界とは対照的に、トラック業界では資本と技術の融合が急速に進んでいる。

 いすゞと傘下のUDトラックス(旧・日産ディーゼル)、日野・三菱ふそうの2大陣営に再編が進み、業界は新たな集約のフェーズに入った。系列の再編から、機能の融合へと段階が進む。今後は、組織の枠を超えた研究開発や商品戦略の共通化が、カギを握るテーマとなる。

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