EV一本化から「ハイブリッド」容認へ! 35年まで延期、英国の方針転換は日本車復活の号砲になるのか?

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2030年のガソリン車新車販売禁止を再確認しつつ、HVの販売を2035年まで認めた英国政府。EV支持率は69%と高水準だが、販売は伸び悩む。追加関税で輸出停止の動きも見え、EV移行と経済圧力の狭間で揺れる現地の実情とは。

段階移行でHVに現実解

英国(画像:Pexels)
英国(画像:Pexels)

 英国現地では、今回の発表にどのような反応があったのか。

 スターマー首相がEVへの移行に関する規制緩和を発表したのは、2025年4月7日だった。これを受けて、同日ユーガブが成人3806人を対象に世論調査を実施した。その結果、69%が「非常に」もしくは「ある程度」支持すると回答した。反対意見(「やや」もしくは「強く」)はわずか17%。14%は意見なしだった。この数字を背景に、現地メディアも好意的な論調を見せている。ガソリン車については、2030年に新車販売が禁止される方針があらためて確認された。ただ、現地ではガソリン車ユーザーの不安に対して、メディアが情報発信を行っている。

 2030年以降もガソリン車やディーゼル車の運転は可能だ。禁止されるのはあくまで新車販売であり、既存車両の利用は禁止されない。ただし、これはすべての地域に当てはまるとは限らない。クリーンエアゾーンが拡大・厳格化された場合、地域や時間帯によってはガソリン車の進入が制限される可能性がある。

 現時点では、英国でガソリンやディーゼル燃料の販売を停止する計画はない。ただし、今後は段階的な廃止により、燃料の入手が困難になったり、価格が上昇したりする可能性はある。

 将来に備えてEVを入手するなら、現時点では職場の給与天引き制度を活用したEVリースがもっとも経済的だとされる。この制度では、雇用主がEVをリースし、その費用を税引き前の給与から差し引く仕組みになっている。個人でリースするよりも負担が軽くなる。

 新車EVを買う余裕がなく、職場に給与天引き制度がない場合は、中古EVの購入を検討するのが現実的だろう。

 いずれにせよ、今回の発表はEVを一気に推進するというより、HVを交えた段階的な移行を認める内容となった。多くの人にとって、前向きに受け止められている。

 なお、ガソリン車禁止の時期はこれまでも何度か変更されてきた。今後の動向についても注視していきたい。

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