なぜ「EV支持層」は強固なのか? 米EV市場、トランプ政権の逆風下でも「94%」が再購入意向 J.D.Power調査が示すEVの未来

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EV満足度は依然として高く、BEV再購入意向は94%。一方で、トランプ政権は補助金停止や税控除廃止を打ち出し、市場の成長に冷や水。EVの未来は岐路に立たされている。

25%関税が及ぼすEV冷却圧力

リポート「EV Owner Satisfaction Improves but Regulatory, Incentive Uncertainties Create Challenges, J.D.Power Finds」(画像:J.D.Power)
リポート「EV Owner Satisfaction Improves but Regulatory, Incentive Uncertainties Create Challenges, J.D.Power Finds」(画像:J.D.Power)

 EV市場の先行きを不透明にしているのが、今年発足したトランプ政権の政策である。

 2月6日、トランプ政権下の米運輸省・連邦道路管理局(FHA)は、各州に充電器設置のための資金を分配していた「国家電気自動車インフラ(NEVI)プログラム」の助成金を停止すると発表した。

 NEVIは2021年、バイデン政権下で超党派により成立したインフラ法に基づく事業である。今後5年間で全米の幹線道路沿いを中心に充電器を整備するため、総額50億ドル(約7160億円)が割り当てられていた。EV普及を加速させる国家的プロジェクトだった。

 さらにトランプ政権は、EV購入者に対して最大7500ドル(約107万円)が適用されている税額控除、いわゆるEV優遇税制の廃止も検討しているとされる。

 J.D.Powerの調査では、EV購入者の過半数が税額控除を購入動機のひとつに挙げており、もしこの制度が撤廃されれば、2025年のEV販売シェアは横ばいにとどまる可能性が高い。これまで右肩上がりで成長してきたEVシェアは、一時的に踊り場を迎えることになるだろう。加えて、トランプ政権が打ち出している輸入車への25%の追加関税、いわゆるトランプ関税も無視できないリスクである。

 一方で、EV技術の進化やインフラ整備は引き続き進行している。短期的な逆風はあっても、中長期的に見ればEV普及の大きな流れは変わらないといえる。

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