漫画『ワンピース』は嘘だった!? 知られざる「海賊」の歴史と蛮行! 2024年襲撃116件…現代も続く脅威、船舶対策の最前線とは
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世界経済を揺るがす海上脅威
21世紀に入っても、海賊行為は依然として世界的な脅威となっている。2024年には、世界全体で海賊による被害が116件発生したと発表された。特に、ソマリア沖やマラッカ海峡では海賊による襲撃が続き、国際的な問題となっている。
ソマリア沖では、1990年代の内戦により政府の統治が崩壊した。その影響で漁業資源の乱獲が進み、経済的に困窮した漁師たちが海賊行為に手を染めるようになった。彼らは商船を襲い、乗組員を人質に取って巨額の身代金を要求するなど、組織的な犯罪へと発展した。
これに対し、各国は軍艦を派遣し、護衛船団を組むなどの対策を講じている。一方、マラッカ海峡は世界の海運の要所であり、海賊行為が後を絶たない。海峡の狭さや国境の複雑さを戦略的に利用して襲撃が繰り返されている。
海賊に対抗するため、各国の海軍や国際機関は多様な対策を進めている。国際連合の海洋法条約では、海賊行為は国際犯罪と位置づけられており、各国は取り締まりを強化している。日本でも、海上警備行動に基づく護衛艦の派遣や、海賊対処法の整備が進められている。
アデン湾では、2隻の護衛艦が対象船舶の前後に配置され、安全を確保している。さらに、アデン湾上空のパトロールも行われている。不審な船舶を発見した場合は、護衛艦や他国の艦艇、近くを航行する民間船に随時情報を提供している。
船舶の設計にも対策が講じられている。例えば、アンカーチェーンを伝って甲板に上がれないようふたを設けたり、操舵室に続く階段やドアを封鎖するといった工夫である。
海賊は、歴史を通じて形を変えながら存在し続けてきた。かつての大海賊時代は終わったが、現代においてもその脅威は完全には消えていない。海上輸送の安全を守るためには、国際社会が連携し、技術と政策の両面から取り組みを強化する必要がある。