漫画『ワンピース』は嘘だった!? 知られざる「海賊」の歴史と蛮行! 2024年襲撃116件…現代も続く脅威、船舶対策の最前線とは
- キーワード :
- 船
自由の象徴ともされる“海賊”は、今なお世界の物流を脅かす現実の存在だ。2024年には海賊被害が116件発生。古代から現代まで変貌を遂げつつも続く脅威と、国際社会の対策を経済の視点で追う。
世界の海賊の歴史
海賊の歴史は古代にまでさかのぼる。地中海では、古代ギリシャやローマの時代からすでに海賊が存在していた。
海賊行為が最も盛んになったのは、17世紀から18世紀にかけての「海賊の黄金時代」である。この時代、欧州各国は戦争を繰り返していた。国家は
「私掠船(しりゃくせん)」
呼ばれる民間の船に敵国の船の襲撃を認め、戦争を支援させながら利益も得ていた。英国のフランシス・ドレークは、その代表的な私掠船の船長である。
やがて当時の強国スペインが衰退し、英国やフランスはスペインとの関係改善を優先するようになる。すると、政府に見放された私掠船の乗組員たちが、職を失い海賊へと転じていった。これが本格的な海賊の黄金時代の始まりである。
この時期、カリブ海や大西洋沿岸では多くの海賊が活動していた。彼らはスペイン、英国、オランダの交易船を次々と襲った。なかでも有名なのが、エドワード・ティーチ、通称「黒ひげ」である。恐ろしい外見と大胆な戦術で知られ、多くの敵に恐怖を与えた。当時、カリブ海のナッソー(現在のバハマ)は「海賊共和国」と呼ばれ、多くの海賊が集結していた。そこでは自治国家のような体制が築かれていた。
しかし、どんなに有名な海賊でも活動期間はせいぜい2~3年にすぎなかった。海賊の数が増えすぎたことで、各国は危機感を強めるようになる。欧州諸国は商船を守るため、海軍の強化に力を注いだ。その結果、海賊たちは次第に撃退され、やがて衰退していった。