EVの整備士が全然足りない! 英国では7年後「2万5000人不足」の現実! 日本も他人事ではない? いったいなぜか
不足の実状と背景

EV市場は着実に成長を遂げている。乗用車にとどまらず、商用車分野でも進展が見られる。日本バス協会は、2030年までに国内に累計1万台のEVバスを導入する目標を掲げており、2023年には国土交通省がEVバスの導入支援予算を2022年度の10倍以上となる100億円(約500台分)に引き上げた。また、補助率も導入費用の最大半分まで引き上げられている。
トラック分野でも、ヤマト運輸は2023年9月に、三菱ふそうの小型EVトラック「eCanter」約900台を全国導入した。このトラックは1回の充電で116kmの走行が可能であり、ヤマトホールディングスは2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向けた取り組みの一環として位置づけている。政府は、化石燃料使用商用車に対する排出基準を設置し、バッテリー技術の進展と導入コストの低下を背景に、EVトラックの普及を進めると予測し、2030年までのEVトラックのシェアを26.5%と高く見込んでいる。
特にバスやトラックの商用車は、事前に走行ルートや距離を予測しやすいため、EV普及の基点として有望視されている。しかし、乗用車と商用車双方で、EVの整備ができる人材の育成が進んでいない。将来のEV需要増加に対して、整備士の数が追いついていない現状がある。
電気自動車は、従来のガソリン車と異なる機構を持っており、整備には特別な資格が必要である。整備士は「電気自動車等の整備に係る特別教育」を受講し、低圧電気の取り扱い方法などを学ぶ必要がある。さらに、
「自動車電気装置整備士」
の国家資格取得も推奨され、これは電気自動車整備において専門的な知識を有する資格となる。
自動車電気装置整備士になるには、毎年3月に実施される国家試験(登録試験)に合格する必要がある。試験は「学科試験」と「実技試験」に分かれており、学科試験では基礎工学、法規、検査、電気の基礎、バッテリー、充電装置、始動装置、灯火・保安装置、冷暖房装置(フロン類回収・破壊法)、電子制御装置、法令などが出題される。実技試験は、中間試験、修了試験、実技試験などが含まれる受験資格は、国土交通省が認定する専門学校や大学で整備士養成課程を修了した場合、実務経験は不要。それ以外の人は、学歴に応じて1年6カ月以上または2年以上の実務経験が求められる(全国自動車電装品整備商工組合のウェブサイトより)。
このような資格取得や育成にかかるコスト(時間や金銭的負担)が整備事業者にとって大きな壁となっている。特に高電圧EVの修理には訓練や設備のコストがかかり、リスクもともなうため、整備工場の経営者が消極的になる傾向がある。このような背景から、整備士不足がEVの普及における重大な課題となっている。