EVの整備士が全然足りない! 英国では7年後「2万5000人不足」の現実! 日本も他人事ではない? いったいなぜか

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EV市場は2023年に1.66%と成長を続ける一方で、整備士不足が深刻化。政府がEVバス導入支援に100億円を投じるなど、普及を後押しする動きとは裏腹に、整備体制の立ち遅れがEV普及の足かせとなる懸念が浮上している。英国の自動車産業協会は、2032年までに英国で2万5000人のEV整備士が不足すると予測。日本も例外ではなく、整備士育成の遅れが、脱炭素社会への移行を阻むリスクをはらんでいる。

EV整備士養成の現状と課題

EV(画像:Pexels)
EV(画像:Pexels)

 前述のとおり、日本におけるEV整備士の養成は、整備士資格に加えて「電気自動車等の整備に係る特別教育」の受講が必要とされ、低圧電気の取扱い方法などを学ぶ。さらに、「自動車電気装置整備士」という国家資格の取得も事実上望ましいとされるが、この資格制度にかかる時間と費用を有効とは判断せず、EV整備に消極的な整備工場も少なくない。

 また、バス事業者のなかには電動バスの導入に慎重な姿勢を取るところも多い。その背景には整備士養成にかかるコストを「無駄」と捉える事業者の存在がある。生命のリスクや工場火災といった危険性も考慮し、高電圧EVを扱える整備士の養成に消極的にならざるを得ない構造があり、その結果、整備士の数が不足する事態に陥っている。

 この状況を踏まえたとき、既存の整備事業者の負担や設備投資の大きさを政治や行政がどう捉えているのかが問われる。EVの普及促進に関する支援金は多くの政治家のマニフェストで争点となるが、肝心の整備士育成を政策的に支援すると明言する政治家は見当たらない。訓練機関の拡充や公的な教育プログラムの整備といった政策が打ち出されてもよいはずだが、多くの政治家は表面的な「導入支援」といった受けのよいテーマにしか言及していない。

 EV整備士の不足は経済にも影響を及ぼす。整備士の供給が追いつかない状況では、市場における整備費用の高騰は避けられず、修理や保証にかかるコストの上昇は確実だ。整備士不足は業界全体の負担増を招き、さらにはEV普及の停滞を引き起こすことで、温室効果ガス削減目標にも悪影響を与えかねない。ここまで積み上げてきた社会の取り組みが無駄になりかねない点を考えると、EV整備士不足の問題は看過できない重要な社会課題である。

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