地方の「共倒れ」を防げ! JR四国×徳島バス、JR東日本×岩手県北バス…相互直通・共同運行で「地域交通」は救えるか? 鉄道とバスは敵同士ではない

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鉄道と路線バスの協働が進むなか、地域公共交通の再生に向けた新たな道が開かれている。JR四国と徳島バスの事例に見る、運行効率の向上や経済的メリットは、今後他地域にも波及する可能性を秘めている。

公共交通再生に必要な新たな連携

DMV(画像:写真AC)
DMV(画像:写真AC)

 最後に「公共交通事業者の視点」について考察する。鉄道事業者にとって、営業係数が非常に悪いエリアでは、自社の鉄道便増便に対する地域からの過度な期待や圧力があり、車輛や人員の確保にかかる費用負担を回避できる新たな手法は非常に有益である。

 特に、阿波海南から甲浦までの区間では、阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)が走っており、この区間は阿佐線計画の一部として、牟岐駅から高知県後免駅を結ぶ予定であったが、結局は未成線となり、JR四国の支援も受けられない地域となった。それでも、DMVという観光資源が生まれ、室戸方面への公共交通のアクセスを改善するためには、徳島方面からの便が少しでも充実していることが重要だ。特に、牟岐や阿波海南方面への公共交通を充実させるためには、路線バスとの協働が大きな助けとなった。

 一方、路線バス事業者にもメリットがある。コロナ禍やモータリゼーションの影響で経営が厳しいバス事業者にとって、2024年問題を迎えるなかで人件費を確保することは重要な課題だ。室戸や生見、阿南から大阪への高速バスは、都市間輸送だけでなく、地元の短距離移動の客も取り込むことができるため、ビジネスチャンスを広げる可能性がある。高速バスと地元路線バスを一体化させることで収益の増加が期待できる。また、高速バスは大阪と室戸方面の観光地を結ぶ路線でもあり、インバウンド需要を考慮すると、地元路線バスとしての利用に関して懸念もある。

 筆者(西山敏樹、都市工学者)も阿佐海岸鉄道の調査などで何度も阿南での乗り換えを利用してきた。大学の休暇が長めの3月、8月、12月によく出かけるが、高速バスは混雑するものの、地元客はいつも五人程度で、大きな問題が発生することはない。地域の行政や産業にとっても、公共交通の集客性が高まることは悪いことではない。

・免許返納をする高齢者
・免許取得を避ける若者

が増えている現状では、公共交通での集客性の向上は非常に好ましい傾向といえる。

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