EVアンチが、3月発表「トヨタ新型EV」をなぜか批判しない根本理由

キーワード :
, ,
トヨタが2025年に新たなEVを欧州市場に投入すると発表し、国内でのEV批判が収束しつつある。日本車の信頼性と技術力に対する期待が高まる中、EV市場の今後に対する消費者の関心は二分され、選択肢の不足や技術面での懸念が購入意欲を左右している。

日本の技術力を示す「C-HR+」

「C-HR+」(画像:トヨタ自動車)
「C-HR+」(画像:トヨタ自動車)

 もう一度前述のデータを見てみよう。将来購入したいと考える電気自動車のメーカーで、国内では「トヨタ」が29.4%の支持を集めている。つまり、100人中30人はトヨタのEVを購入したいと考えている計算だ。

 トヨタは約30年前の1997(平成9)年にプリウスの第1弾を市場に投入しており、ハイブリッド車の先駆者として、電動化技術の研究が長年にわたり蓄積されてきた。この結果、プリウスはモデルチェンジを重ね、社会から一定の評価を得てきた。トヨタの参入は、まさに

・日本の自動車業界への信頼
・日本の自動車電動化技術への信頼

を象徴するものである。

 2025年後半から欧州で発売予定の「C-HR+」は、改良されたふたつのリチウムイオンバッテリーを搭載し、バッテリー容量57.7kWh仕様で航続距離455km、77.0kWh仕様で600kmを実現するとしている。急速充電時間も約30分を目指して開発されており、十分な競争力を備えている。

 トヨタが発表したこのEVの仕様は、国際的に優れた競争力を持ち、走行距離や充電速度の向上は、日本の技術力を世界に示す絶好の機会となるだろう。この技術開発と仕様のデータは、日本の自動車技術をアピールする要素となっている。

 前述の調査結果には、もうひとつ注目すべき傾向がある。3年以内に車を買い替える予定のある人のうち、84.4%がEVに興味を持っているものの、そのうち41.5%が「購入したいと思う」と回答し、42.9%が「興味はあるが購入したいとは思わない」と回答。購入意向が分かれる結果となった。日本人の日本車志向が強いことから、

・適切な国産EVの選択肢がない
・「Well to Wheel」の観点でまだ魅力を感じない
・メンテナンス体制に関して海外製主流である

への不安が、購入に消極的な理由となっていると考えられる。日本国内でのEVに対する消費者の受け入れ態度は長年二分されてきた。しかし、今回のトヨタの動きが

「日本の自動車業界がEV開発で遅れを取っている」

という感覚を解消するかもしれない。

全てのコメントを見る