EVアンチが、3月発表「トヨタ新型EV」をなぜか批判しない根本理由
トヨタが2025年に新たなEVを欧州市場に投入すると発表し、国内でのEV批判が収束しつつある。日本車の信頼性と技術力に対する期待が高まる中、EV市場の今後に対する消費者の関心は二分され、選択肢の不足や技術面での懸念が購入意欲を左右している。
変化するアンチの論調

電気自動車(EV)市場には賛否が渦巻いている。一般的にEVは環境性能が高いとされるが、その評価はどの基準で測るかによって大きく変わる。「Tank to Wheel」、つまり駆動用バッテリーからホイールまでのエネルギー効率やCO2排出量の観点では、EVの環境性能は高く評価されがちだ。
しかし、「Well to Wheel」、すなわち
・化石燃料の採掘から輸送
・燃料の生産
・発電
・送配電
までを含めたエネルギー効率やCO2排出量を考慮すると、状況は異なる。原油の供給源や燃料の種類によってエネルギー消費量やCO2排出量が変動するため、必ずしもEVが環境に優しいとはいえないという指摘も多い。さらに、EVはエンジン車に比べて部品点数が約3分の1に減ることで、産業構造の大きな変化をもたらす。この点を懸念し、経済的観点からEVに異を唱える声も少なくない。
こうしたなか、トヨタ自動車は3月12日、欧州で2025年に新たに3車種のEVを発売すると発表し、米国のテスラや中国メーカーに対抗する姿勢を明確にした。この発表を受け、国内の「EV批判派」の反応が鈍っている。
これまでEV批判派、特に熱烈なエンジン車支持者たちは、上記などの理由を含め、ネット上でEVを感情的に批判する傾向が強かった。しかし、今回のニュースに対しては、その勢いが極端に弱まっている。コメントを見れば明らかだ。その行動は一貫性を欠いているようにも見えるが、なぜなのか。
なぜ彼らはトヨタのEVへの批判を緩めているのか。本稿では、その背景や構造について掘り下げる。