桜島フェリー「24時間運航」終了の衝撃! 90年続いたかつての“ドル箱路線”はなぜ赤字転落? 高速道路、火山、コロナ…地方交通崩壊の縮図か
鹿児島市と桜島を結ぶ桜島フェリーが、2025年10月に24時間運航を終了する決定を下した。9年連続の赤字と27億円を超える累積欠損が原因だ。フェリー経営の転機は、高速道路の開通や桜島の火山活動、コロナ禍など複合的な要因にあり、地方公共交通の厳しい現状を浮き彫りにしている。
鹿児島市の運営転換と課題

2004(平成16)年11月、桜島町が鹿児島市に編入合併され、桜島フェリーの運営主体は鹿児島市の「市船舶事業」となった。
桜島町運営時代、フェリーは町の企業部に位置づけられ、町の予算から年間2億円以上が支出されていた。この予算は、フェリーの利用者増を目指すために、町民へのケアや観光振興を目的に基盤となるインフラや施設の整備費として使われていた。また、町民に対しては、自動車航送料や通勤費の助成も行われていた。
しかし、合併後の鹿児島市では、市民全体の視点からこれらの制度が廃止され、利用者確保のための整備が後手に回り、運航だけを行う形になった。
もちろん、鹿児島市は無策ではなかった。こうした危機的状況に対して、鹿児島市はさまざまな対応策を講じてきた。これまでに3度の運賃値上げが行われ、2024年には旅客の大人運賃が200円から250円に引き上げられ、車両運賃も大幅に引き上げられる。また、
・乗組員を含む職員手当のカット
・ダイヤ見直し
・減便
・船舶数の削減(5隻から4隻体制への変更)
などのコスト削減策も進められている。しかし、燃料費の高騰という打撃もあり、赤字脱却のための抜本的な改革には至っていない。