「JR東海批判」元国交相のSNS炎上! 新幹線の炭酸水160円「二度と買わない」発言は正しかった? 利用者の意識を考える
利便性の対価としての価格差

赤羽氏は「JR東海のサービスの概念はどうなっているのでしょう」と疑問を呈しているが、これは単に価格設定の問題なのか、鉄道会社の経営方針の問題なのかを整理する必要がある。
JR東海にとって、新幹線は収益の柱であり、ビジネスモデルの中心は旅客輸送だ。運賃収入が最優先されるため、車内販売のような付帯サービスは採算が合わなければ縮小されるのが自然な流れである。実際に東海道新幹線のワゴン販売は収益性の低下が大きな理由で廃止された。
また、鉄道業界全体を見ても、車内販売の縮小は世界的な傾向だ。例えば、フランスの高速鉄道TGVでは、かつては充実していた車内販売が縮小し、簡易的なカフェスペースでの販売に移行している。ドイツのICEでも、食堂車は存続しているが、ワゴンサービスは大幅に縮小された。
このように、鉄道会社はサービスの提供範囲を慎重に見直し、必要最小限の形に絞ることで収益性を維持しようとしている。つまり、JR東海のサービスの概念は、単に「削減」ではなく、「選択と集中」の結果だ。
赤羽氏の発言がここまで注目を集めた背景には、多くの消費者が「高すぎる」と感じる価格に対して反応しやすい心理があると考えられる。一般に、消費者は「公平な価格」を期待する傾向があり、日常的に購入している商品の価格が異常に高いと「ぼったくり」と感じやすい。特に、鉄道のように「公共性」の高いインフラに対しては、「適正価格であるべき」という意識が強いため、通常の市場メカニズムを無視して批判が生まれやすい。
しかし、前述のとおり、新幹線の車内販売価格は「移動中に購入できる」という付加価値を含んでおり、これを一般の小売価格と同列に語ることはできない。また、新幹線という高速移動手段自体が「時間を金で買う」サービスであることを考えれば、多少の価格差は「利便性の対価」として受け入れられるべきだろう。