電車で席を譲る人は「そもそも優先席に座らない」説は本当? 座る人は「約7割」、電車内行動の深層心理に迫る

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都市部の公共交通で見られる「席を譲る人が優先席に座らない」という現象は、調査結果によると66.9%が優先席に座る意向を示す中で、心理的な要因が影響していることがわかる。鉄道事業者にとって重要なのは、乗客心理を理解し、効率的な座席利用と快適性向上のバランスを取ることだ。

譲る意識が生む座席ジレンマ

優先席(画像:写真AC)
優先席(画像:写真AC)

 優先席は本来、高齢者や障がい者、妊娠中の人など、席を必要とする人のために設けられている。しかし、実際には空席があれば誰でも座ることができる。

 重要なのは「優先席に座ることで生じる心理的負担」だ。「本来座るべき人が来たら譲らなければならない」というプレッシャーや、周囲の視線を意識し道徳的な評価を気にする感覚、必要な人が現れたときにすぐ立てるようリラックスできない状態などが挙げられる。

 特に、譲る意識が強い人ほど、こうしたプレッシャーを敏感に感じやすい。その結果、優先席を避ける傾向が生まれる可能性がある。また、「譲る場面そのものを避ける」という選択も合理的な行動といえる。他者に親切にする意識があっても、余計なストレスを背負いたくないという心理が働くことも考えられる。

 とはいえ、席を譲る意識がある人が優先席に座ることがまったくないわけではない。例えば、混雑していて他の座席が埋まっている場合や、短距離移動でありすぐに立つ前提で座る場合、優先席であっても明確な対象者がいないと判断した場合などがある。

 ラッシュ時には「誰もが座れる座席」として優先席を利用することもあり、この場合、譲る意識がある人も座る。ただし、「譲る準備をしている」という前提で行動していることが多い。また、短距離移動では「すぐ降りるなら座っても問題ない」と考えることもある。これは「席を長時間占有することへの罪悪感」とのバランスを取る行動といえる。

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