バスも鉄道も消える!? 自治体統廃合「1700 → 400」で地方はどうなる? 村上大臣の発言で懸念される“移動崩壊”の危機
広域行政が招く交通サービス縮小

自治体が統合されることは、住民が生活する「行政単位」が広がることを意味する。たとえば、現在、市町村単位で運営されているバス路線やタクシー補助制度は、広域行政になったときにそのまま維持できるのだろうか。
多くの地方自治体は、赤字でも住民の生活を支えるためにバス路線を維持してきた。しかし、統廃合後、新たな自治体が「採算が取れない路線」を整理する可能性は高い。例えば、人口減少が著しい地域では、幹線道路沿いの主要バス停を中心とした幹線輸送へのシフトが進むかもしれない。その結果、これまで徒歩圏内にあったバス停がなくなり、高齢者の移動手段が大きく制限される可能性がある。
地方ではタクシーが公共交通の代替手段として重要だが、行政区域が広がることで、タクシー事業者の営業エリアが変わる。例えば、現在の「〇〇市内均一料金」などの制度は消滅し、より広域な料金体系が導入されるかもしれない。これにより、一部の地域ではタクシー料金が割高になり、利用が減る可能性がある。
バスが減り、タクシーが高額になると、人々は新たな移動手段を求める。カーシェアやライドシェアの利用が加速する可能性が高い。特に、自治体が主導する「公営ライドシェア」が増える可能性がある。例えば、現在のデマンド型交通(予約制のバス)を進化させ、住民がアプリで乗り合いタクシーを呼べる仕組みが登場するかもしれない。
自治体再編は、鉄道や高速道路といった広域交通インフラにも影響を及ぼす。JRや私鉄各社は、すでに赤字ローカル線の維持に苦慮している。自治体再編により、これまで存続を支えていた自治体の補助金が打ち切られるケースが増えれば、鉄道路線の廃止がさらに加速する可能性が高い。例えば、現在の第三セクター鉄道は、新たな広域自治体の判断で統合・再編され、一部はバス輸送に置き換わるかもしれない。
高速道路網は全国に広がっているが、地方の利用者は減少傾向にある。広域自治体が増えることで、高速道路の管理主体が再編され、新たな通行料金体系が導入される可能性がある。例えば、現在の「地方部割引」が廃止され、距離に応じた完全従量制に移行することも考えられる。