平成の特別番組「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」 なぜバスはクレーンで吊り下げられたのか? 過激な笑いが許された時代を読み解く

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「バス吊り下げアップダウンクイズ」の過激な演出が許容された背景には、1989年から1996年の激動期における視聴者の欲求とメディアの競争が深く影響していた。社会の変化に伴い、過去のテレビエンタメがどのように進化し、現代ではなぜ受け入れられなくなったのかを探る。

昭和バラエティの狂騒

廃バス(画像:写真AC)
廃バス(画像:写真AC)

「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」の名物企画「バス吊り下げアップダウンクイズ」を覚えているだろうか――。同クイズは、その名の通り、誤答した解答者が乗るバスが海に吊るされ、再びクイズに挑戦するが、間違えればそのまま水中へ沈められる。現代の価値観で振り返ると、この演出には倫理的な疑問が噴出する。

 なぜ、これほど過激な演出が当時の社会でエンターテインメントとして許容され、笑いとして受け入れられたのか。その背景には、時代の空気やテレビ文化の構造、視聴者心理が深く関わっている。

 本稿では、それらを掘り下げることで、この番組を単なる「懐かしのバラエティ」としてではなく、社会現象として読み解いていく。

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