「城しか見るところがない」 なぜ名古屋市はインバウンド誘致の“負け組”になってしまったのか? 宿泊客数、東京のわずか「20分の1」という現実

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訪日外国人観光客が急増し、観光公害が各地で問題になっている中で、名古屋市はその波に乗り遅れている。三大都市圏に数えられる大都市でありながら、なぜ名古屋は観光地として注目を集めることができないのだろうか。

訪日客延べ宿泊数は東京の「20分の1」

久屋大通公園に立つ中部電力未来タワー(画像:高田泰)
久屋大通公園に立つ中部電力未来タワー(画像:高田泰)

 名古屋市は人口約233万人。自動車産業で栄え、東京23区、横浜市、大阪市に次ぐ大都市なのに、栄地区やJR名古屋駅周辺の名駅地区(中村区)を歩いても、訪日客の姿はまばら。栄地区の百貨店は

「訪日客は徐々に回復してきたが、東京や大阪、京都ほど伸びていない」

と残念そう。

 名古屋市によると、市内の外国人延べ宿泊客数は2023年で約183万人泊。コロナ禍前の2019年に比べ、8割強にとどまっている。2024年はもう少し回復したとみられるが、訪日客で公共交通や観光地が混雑することはほとんどない。大手ビジネスホテルチェーンの宿泊価格も大阪市や京都市より低めに設定されている。

 観光庁がまとめた愛知県の2023年訪日外国人延べ宿泊者数は約201万人泊。東京都の約4364万人泊、大阪府の約1876万人泊より一桁少なく、全国都道府県で9位に位置する。日本政府観光局が推計した訪日外国人訪問率も愛知県は5.8%で11位。東京都の52.9%、大阪府の39.6%から大きく引き離されている。

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