熱海 vs 三島──私が断然「三島派」のワケ! インスタ映え観光の終焉? リピーター率7割の魅力を考える

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SNS時代の観光振興において、三島市は地域固有の魅力を活かし、持続可能な観光地づくりのモデルを示している。富士山や三嶋大社など、観光資源の本質的な価値を大切にし、リピーターを生み出す戦略が安定した成長を支える。今後の観光地づくりに重要な示唆を与える事例として注目される。

文化と歴史の喪失

三島駅(画像:写真AC)
三島駅(画像:写真AC)

 SNSの普及により、現代の観光は「インスタ映え」が重要な要素となった。「チームラボプラネッツ TOKYO」のように、視覚的なインパクトを前面に押し出し、SNSを通じた集客に特化した観光施設も増えている。

 SNSは単なるコミュニケーションツールではなく、旅行先を決める上での重要な情報源としての役割も担っている。2019年にMetaが発表した調査によると、定期的に旅行をする人の46%が「休暇の計画を立てる際にInstagramを利用する」と回答し、51%が「Instagramはあまり知られていない旅行先や体験の情報源だ」と認識していた。

 こうしたSNSの浸透は、観光地の在り方そのものを大きく変えた。かつて観光地は、テレビCMや旅行雑誌といったマスメディアを通じて一方的に情報を発信する形が主流だった。しかし現在は、観光客自身がSNSを通じて新たな魅力を発見し、それを世界中へ拡散する時代となっている。この変化により、観光地側もSNSでの拡散を前提とした観光資源の開発や演出に注力せざるを得なくなった。

 しかし、SNSを重視した観光地開発には課題も多い。インスタ映えするスポットは集客力が高いものの、多くの観光客は写真を撮った後すぐに立ち去り、地域経済への波及効果は限定的だ。

 さらに問題なのは、SNSでの話題性を優先するあまり、その土地本来の

・文化
・歴史的価値

が軽視される傾向があることだ。結果として、一時的な人気に振り回される観光地も少なくなく、持続的な発展に必要なインフラ整備が後回しになるケースも増えている。SNS時代の観光戦略には、新たな魅力の創出だけでなく、地域資源の本質的な価値を守る視点が不可欠だ。

 観光業の課題を考える上で、静岡県の熱海市と三島市は対照的な事例を示している。熱海市はSNSでの話題作りを重視し、三島市は地域固有の観光資源を活かすという、まったく異なるアプローチを取っている。このふたつの都市を比較することで、持続可能な観光地づくりの在り方を探る。

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